どうして?!牛乳だけではカルシウムを充分取れない理由
2017.9.8
カルシウムが取れる食品で思い出すのは、なんといっても牛乳ですよね!
ところが、牛乳では思ったようにカルシウムが取れないという事実が?!
骨を作るイメージの強いカルシウムですが、血管や血糖値にも大きな役割を果たしています。
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記事の概要・目次
牛乳を飲んでも消化酵素がなければカルシウムは取れない
牛乳に含まれる乳糖を消化するためには、「ラクターゼ」などの消化酵素が必要になります。
このラクターゼが少ない場合、牛乳を飲んでも充分に消化できずカルシウムなどの栄養成分を分解・吸収できないのです。
これを「乳糖不耐症」と呼び、この体質の人が牛乳や乳製品を口にするとお腹を壊したり、下痢になったりするのです。
一般的には、もともと牛乳を飲む習慣がなかった日本人は、白人よりも乳糖不耐症の比率が多いと言われています。
ヒトは離乳期になり、母乳を飲まなくなると乳糖を分解・吸収する働きが衰える傾向はありますが、大量に飲食しなければ分解はできます。
ある研究で20代女性49人に乳糖を摂取してもらう実験をしました。結果は、牛乳4本分にあたる乳糖40グラムを摂取すると、1割に当たる5人が下痢をしましたが、30グラムではお腹を壊す人はいなかったと言います。
もし、少しの牛乳でもお腹を壊すという人は、牛乳を温めてから少しずつ飲めば、ほとんどの人はお腹を壊さず飲むことができるはずです。
牛乳を飲むとカルシウムが取れないどころか減ってしまう?
◆牛乳を飲むとカルシウムを浪費する?
乳糖の消化酵素を持たない人が牛乳を飲むと、体の中ではどんなことが起こるのでしょうか。
牛乳には多くのタンパク質が含まれています。このたんぱく質は、血液を酸性寄りにしてしまうのです。
人間の体は、その状態を一手に保とうとする「ホメオスタシス」という働きがあり、血液が酸性にならないようにバランスを取ろうとします。
このときにカルシウムが必要になるため、骨のカルシウムを減らしてしまうことがあるのです。
◆カルシウム摂取は牛乳以外の食事から
牛乳を飲む以前の日本人は、普段の食事から必要なカルシウムを得ていました。
・小魚
・野菜
・海草
・木の実などのナッツ類
これらから必要なカルシウムは摂取することができるのです。
牛乳は骨粗しょう症を防ぐ効果やカルシウム摂取を目的にするのではなく、単に「嗜好品」と考えるべきなのです。
牛乳のカルシウムは○○がなければ効率的に取れない
コップ1杯分の牛乳に含まれるカルシウムは約220ミリグラム。これは、1日の目標摂取量の3分の1程度にもなります。
では、毎日3杯の牛乳を飲めば、必要なカルシウムは摂れてしまうということなのでしょうか?
実はそうではありません。吸収できるカルシウムは、飲んだ牛乳の4割程度でしかないからです。
効率よく牛乳のカルシウムを摂取するには、いわゆる「食べ合わせ」が重要になってきます。
ビタミンDは、骨から融け出たカルシウムを再び吸収させる働きを補い、同時にカルシウムが体の外に排出されしまうのを防ぎます。
このビタミンDが多く含まれるのは、シイタケやきくらげなどのキノコ類。また、鮭にも多く含まれているのが解っています。
キノコと鮭でホワイトシチューやグラタンなどを食べると、牛乳に含まれるカルシウムを吸収することができるというわけです。
効率よく栄養を吸収するためには、ちょっとしたコツが大切なんですね。
牛乳では取れない栄養も。カルシウムが取れる牛乳以外の食材
カルシウムを含む食品は、牛乳だけではありません。お腹を壊しやすい、あまり好きではない人が無理やり牛乳を飲むよりも、ほかの食品から充分なカルシウムを摂取しましょう。
◆牛乳以外の乳製品
・チーズ
・ヨーグルト
牛乳そのものは苦手でも加工食品なら食べられるという人も多いのではないでしょうか。
◆小魚・魚介類
・ニボシ
・干しエビ
ニボシを出汁に使うのであれば、フードプロセッサーなどで丸ごと粉にして使うと良いでしょう。
◆大豆
日本食に欠かせない豆腐や厚揚げ、納豆も普段から手軽に食べることができてカルシウムを摂取できるありがたい食品。
◆海藻や野菜など
・小松菜…ビタミンC・E、カルシウムや鉄分、食物繊維も豊富
・チンゲン菜…βカロテン、カリウム、カルシウム、ビタミンC等
・海藻類…カルシウムを含め、ミネラル成分が非常に豊富ですが、大量に食べることは難しいので、日々少しずつ摂取するといいでしょう。
カルシウムが取れないと骨がスカスカになってしまう?
現代の日本では、多くの人が充分に食事を摂ることができ「飽食の時代」と言われています。
しかし、そんな日本人に不足している栄養素がカルシウムなのです。
人間に必要なカルシウムは、1日に600ミリグラムと言われていますが、実に7割もの日本人が、この目標値に達していません。
1970年以後、530~550ミリグラムほどで横ばいの状態が続いています。
では、カルシウムが不足すると体にはどんな変化や症状が起こるのでしょうか。
・骨粗しょう症
骨は体を作ると同時に、カルシウムを溜めておく倉庫の役割も持っています。
体に必要なカルシウムが不足してしまうと、補おうと骨に含まれるカルシウムが溶け出します。これによって骨の内部のカルシウムが不足して、骨粗鬆症を引き起こすのです、。
・高血圧や糖尿病リスクも上昇
「カルシウム=骨を作る」と思いがちですが、細胞や血管が働くためにもカルシウムは必要なもの。
高血圧や糖尿病など、多くの生活習慣病の原因になってしまうのです。
- 医療・健康